貝掛の家

2015年竣工
大阪府阪南町

古民家に近い、築年数の古い木造建築をリノベーション
するのではなく敢えて全て解体処分して家族数に応じた
コンパクトな住居をするにはどうすればいいでしょうか
とメールでお問い合わせが有り年末の押し迫った日に
初めて敷地訪問。現場調査をして敷地の大きさと建物の
古さに改めて唖然としました。何より建物が古く、かな
り傷んでいて、断熱性も皆無の既存建築は、仰るように
リノベーションするには、手の施しようが無い状態でし
た。問答無用で新築という方針が決まったのは良いので
すが、敷地内の既存石積み擁壁が果たして残せるかどう
かで大阪府と協議、結論的には明らかに建築基準法が施
行される以前の工作物ですが、それを証明しろ、と役所
担当者は郁子も無く云うのです。結局そんなものが有る
ハズも無く、美しい既存擁壁は残念ながら残せなくなっ
て撤去、しかし其れに代替する土留擁壁が必要になりま
すがRC造擁壁を造る予算はもとより有りません。結果、
自然法面として処理、建物を道路からセットバックする
という解決策で難を逃れました。建物はシンプルにコン
パクトにしましたが、室内側からの拡がり感を出す事と、
道路・敷地周辺の視線からプライバシーを護るために、
広大なウッドデッキを建物外周部に沿って付設しました