二つのパティオのある家
2003年竣工
大阪府和泉市
此の仕事は、今から振り返れば、大阪に事務所を移転し
てから紆余曲折、漸く地元の知己とは無縁の、しかも他
郷の地で初めて設計事務所らしい仕事が出来た住宅設計
の仕事でした。また此処で考えた様々な手法は、今日の
手法の原点とでも云える設計だったことが今の時点で漸
く分かる、という意味で大変記念すべき仕事です。小さ
な規模ですが、宝石箱の様に色々な手法が内在していま
す。南と北に小さな坪庭をビルトインした形で採り込み
夫々にはウッドデッキを敷いてリビングルームのソファ
に腰かけると同時に二つの庭が眺められる、という空間
構成をしています。またその上部には、小さな吹き抜け
が有ってより開放的な空間の拡がり感が享受できます。
当初、床暖房が前提の吹き抜けでしたが予算的に削除せ
ざるを得なくなり冬季に暖気が抜けるのをどうしよう
かと悩んだ挙句、障子のような『蓋』で随時、締められる
ような仕掛けを初めて試みました。木のルーバーやデッ
キと絡めた構成、壁の竪ルーバー(お施主様側から出た
アイデアで後、天井ルーバーを生む契機となる)等々、
将来の事務所の基本的なデザイン・ヴォキャブラリーに
発展する因子を数多く含む小生好みの建築となりました