須磨のリフォーム

2011年竣工
神戸市須磨区

此の仕事の数年前、別の土地に新築住宅を建てる設計コ
ンペに参加、設計監理する権利は獲得したものの、お子
さんが此処の校区の学校には行きたくないとの話になり
急遽、新築計画は頓挫しました。それから数年間、全く
音沙汰が有りませんでしたが突然、このクライアントか
ら直接連絡が有り、母親が現在住んでいる実家に家族一
同、一緒に住むので二世帯住宅としてのリノベーション
の相談に乗ってほしいと云われ現地訪問。当時は箕面に
住んでおられましたが、此処から通勤で通うとのこと。
それも大変だなぁと思いつつ、倉庫として使っていた鉄
筋コンクリート造の部分を改造して子世帯とする、とい
う内容で設計に着手。大方図面が出来つつ有った時、突
然の計画中止。それから程無くして再び連絡が有り、今
度の案は、木造の離れを母親専用のLDKに改造(今の
母親の寝室に近い)して、主屋は子世帯の住居部分とす
る、という内容でした。紆余曲折の結果、結局この案が
最終決定案となり落ち着いて漸く図面が描けるようにな
りました。母親のLDKにするという建物は築60年位、
納戸や軽トラック、精米機等の置き場でした。構造的に
は木部架構は問題なかったのですが、基礎が頼りなかっ
たので新規で造り替え冬がかなり寒いという事でスラブ
蓄熱輻射暖房システムをご提案しました。主屋の方の断
熱仕様については殆ど現状維持でしたので、冬季に於け
る主屋と離れの温熱環境の差が著しく冬にはお孫さんを
含め、家族全員が知らない間に此のLDKに集まってい
るとお伺いしました。何とも微笑ましい結末を迎えホッ
と安堵しましたが熱環境の大切さを思い知らされました