神戸市北区
１９８７年竣工
【但し、VIP客室「十六夜」「紫苑」のみ】
老朽化した和風旅館の高級路線化の為のプロジェクトで、先行してVIP用の客室として
２つの部屋を先ずリノベーションしました。高級とは、非日常とは、数寄屋とは、を自問
自答してゆくうちに、日本独特の伝統的素材『和紙』によって優しく包まれる空間がイメ
ージされました。宿泊施設なので消防法の問題も有り色々メーカーを調べているうちに
或る特殊な壁装材を扱っている国内メーカーを発見、大阪のショールームを訪ねてみ
ると楮和紙をベースとした大変素材性の高い皮のような重厚感のある壁装材を発見。
しかも防火一級品を取得している商品でした。一目惚れした素材、其処から一挙に具
体的なデザインが次々と脳内に沸き上がりました。元々、クライアント側から書道家・
篠田桃紅氏の絵画を床の間に飾りたいので、それに合うインテリアを、と望まれていて
そういう意味では楮和紙は正にぴったりと合う素材でした。漆の床板、楓の変木、独自
の間接照明、等々次から次へと新しいディテールが此の建築の為に産み出されました