後から振り返れば、あれがそういう意味だったんだぁって思う事ってありますよね。でもその時は
当の本人は、そんな事とはお構いなしに無我夢中で目の前の仕事と向き合っているはずです。

此の仕事は、今から振り返れば、大阪に事務所を移転してから紆余曲折、漸く地元の知己と
は無縁の、しかも他郷の地で初めて設計事務所らしい仕事が出来た住宅設計の仕事でした。
また此処で考えた様々な手法は、今日の手法の原点とでも云える設計だったことが今の時点
で漸く分かる、という意味で大変記念すべき仕事です。小さな規模ですが、宝石箱の様に色々
な手法が内在しています。南と北に小さな坪庭をビルトインした形で採り込み、夫々にはウッド
デッキを敷いてリビングルームのソファに腰かけると同時に二つの庭が眺められる、という空
間構成をしています。またその上部には、小さな吹き抜けが有って、より開放的な空間の拡が
り感が享受できます。当初、床暖房が前提の吹き抜けでしたが予算的に削除せざるを得なく
なり冬季に暖気が抜けるのをどうしようかと悩んだ挙句、障子のような『蓋』で随時、締められ
るような仕掛けを初めて試みました。木のルーバーやデッキと絡めた構成、壁の竪ルーバー(
お施主様側から出たアイデアで後、天井ルーバーを生む契機となる)等々、将来の事務所の
基本的なデザイン・ヴォキャブラリーに発展する因子を数多く含む小生好みの建築となりました


二つのパティオのある家

大阪府和泉市
2003年竣工



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