屋形町の家

2007年竣工
和歌山県和歌山市

旧和歌山城郭内に近い約90坪の敷地、実は小生の実家
の直ぐ近くの方でしたが全く面識が有りませんでした。出
会いには以下の不思議な偶然の力が働き設計監理契約に
至りました。先ず先々代が普請した元々和歌山県海南市
内に在った住宅。昭和南海地震(1946年)の際、津波を受
け曳家して今の敷地に据えたとの事。そこで生まれ育っ
たお施主さんが老朽化を理由に建て替えする際、当初
はハウスメーカー巡りをしていたけれど、なかなか得
心できず今度は設計事務所を探そうとするも全く接点が
無かったとの事。桐蔭高等学校同窓会の当時の年度の
名簿にたまたま事務所広告を出していて、それを偶然
見付けたお施主さんが、事務所ホームページを調べ、
プロフィールのページに掲載していた事務所の入って居
るビルの写真を見た時、何処かで見たことが有る風景だ
なぁと思われ、翌朝いつもの通勤で大阪・天王寺に出て
いつものバス停でバスを待っている時、目の前にあるビ
ルをふと見て、あっ、と思い出しそのとき運命を感じた、
と仰られるのです。そう、通勤で毎朝見ていたビルに弊
事務所が入っていたのです。学部こそ違いますが同じ大
学、実家も近いので幼稚園、小学校が同じ、という事で
ご縁を感じて頂いたとのことでした。世間は広いようで
狭いです。母上様から当時お住まいの曳家した住まいの
履歴を教えて貰い折角なので旧家屋にあった建具を幾つ
か再利用し立派な構造梁も子供室に再利用したりと記憶
を刻印しました。また大きな吹抜のあるインテリアも全体
的に落ち着いた和モダンのテイストを意識し纏めました