祇王寺
12世紀後半創建
日本の風土を語るうえで、苔の存在は必要欠くべからざる重要な存
在です。世界中に苔は存在しますが、日本ほど苔の存在を、文化的
価値まで高めた民族は居ないと思います。国歌にまで織り込むほど
の執着、それは取りも直さず世界に類例のない日本特有の風土が
生み出した植生、またそれは同時に日本文化の根幹を成す基本的
要素でもあります。【奥嵯峨野】に位置する祇王寺は、苔にとっては
生態的に最高の植生地であり、だからこそ見事な最も日本らしい景
観を形作るのだと思います。まさに京都ならではのスポットです。最
初に訪問した時は天地がひっくり返るほどの大雨に見舞われ、到着
した頃には雨が上がり、充分過ぎるほど水分を蓄えた苔面に、一条
の光が差し込んだ様は此の世のものとは思えない程の美しさでした