旧山邑邸住宅


1924年竣工
兵庫県芦屋市

アメリカの建築家、というより20世紀の3大建築家の一人、
フランク・ロイド・ライトが,帝国ホテルの設計で来日している
時に日本人の弟子である遠藤新の仲介で江戸時代から続
く灘五郷の一つ、造り酒屋の第八代目当主から別邸を依頼
しました。敷地面積5200㎡、延床面積540㎡、地上4階建
ての鉄筋コンクリート造、という超豪邸はライトの描いた膨
大なスケッチを基に、遠藤新氏達の弟子の手によって建設
されました。巨大過ぎてか僅か四半世紀で個人の手から離
れ、大手建材メーカーに売却、幾度にもわたる改修工事の
末、会社の迎賓館として再生しました。今では曜日を限定
して一般公開されています。ライトを崇拝する弟子たちによ
ってライト建築を忠実に設計、ほぼ完全なかたちで彼の空
間を日本で堪能する事が出来ます。1974年、大正時代以
降の建築物として初めて、また鉄筋コンクリート造の建物と
して初めて、国の重要文化財に指定されました。ライト自身
は昔から浮世絵の蒐集家であり、ドローイングにもその直
接的影響を発見したりして相当の日本贔屓であったことを
理解しますが、のみならず彼の生み出す建築の骨格が日本
の伝統的建築から相当インスパイアされている処を見れば
意匠のヒントが濃密に内在していることを知る事になります





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